概 要 10物理学科は,素粒子・宇宙物理,物性(凝縮系)物理,生物物理を教育研究活動の3本の柱とし,新しい未開拓の分野に挑戦し続けている。なかでも,物理学の視点から生命現象を理解すべく生物物理学分野を本学科の主要な柱の1つに据えていることは,大きな特色の1つである。まず物理学の基礎を体系的に学習し,その上で,とくに現在活発に発展しつつある最先端分野へと導いていく。このような分野には従来の分類には収まりきらないいわゆる学際領域も多いが,応用物理学科との緊密な協力関係の下,きわめて基礎的な分野から物理学が先端的な工業技術に応用されている工学的色彩の強い分野まで,自由に選択できるようなシステムを提供している。応用物理学科は,卒業生が新規の技術開発に対応できるよう,物理学を身につけ,広い視野を持ち,既成概念に捕われない自由な発想が出来る人材の育成を目指している。物理学や応用数学の基礎をしっかりと習得し,高学年では固体物理学,光エレクトロニクス,システム・情報・制御工学など,現代のキーテクノロジーの基礎となっている多くの科目を幅広く学ぶことができる。卒業研究においてはこれらの研究のプロセスに関与し,応用物理学的手法を身につけていくことができる。もちろん,学部教育の過程で基礎物理学に興味を持った学生にはその分野での研究の基礎を学べるように卒業研究において物理学科の分野を選択できるのも特徴である。化学・生命化学科は,物理化学,無機化学,有機化学,生命化学を柱として教育を行っている。「化学」は,物質の合成,物質の反応,物質の機能等を分子レベルで追究する学問であり,これまで医薬品,合成繊維,プラスチックなど多くの有用な物質を生み出してきた反面,それらの物質のいくつかにより薬害や公害などの問題を引き起こしたことも事実である。21世紀の「化学」には,環境への負荷を考慮した上で,世の中に役立つ物質を作り出す高度な技術が求められている。そのために,単に従来の知識や技術を踏襲するのではなく,原子・分子から構成される物質が織りなす様々な現象を解明するための新しい方法論の確立と,それに基づく新しい技術の開発が「化学」に求められている。化学・生命化学科はこのような要求に応えることのできる創造性豊かな人材の育成を教育の目標にしている。応用化学科は,物理化学,無機化学,有機化学,化学工学を柱とする基礎を,講義,演習,実験によって修得させるカリキュラムを根幹としている。これらを基礎として,セラミックス,プラスチックス,エネルギー変換,食品,医薬,電子材料など,専門分野に関する知識はもちろん,原子・分子の世界からナノ・バイオ・生命・地球環境にわたる幅広い学際領域に関連する知識を修得させる。これらの教育を通して,化学を主軸として社会に実践的に貢献できる人材の養成を行う。さらに,反応プロセスや製造プロセスを至適設計できる人材の社会的要請も高いことから,そうした人材の養成にも対応している。これらに加えて,科学技術者倫理やリスクマネージメントなど次世代を担う人材として身につけておくべき研究者,技術者としての素養を修得させ,科学・工学に対して十分なリテラシーを育成する。生命医科学科は,ミクロやナノといった分子レベルで事象を捉える学問である物理と化学を基盤とし,主に分子生物学を中心に生命現象を理解しながら生命科学,医科学,医工学の知識を身につけさせる。また,医学等への応用を指向する,理工系と基礎医学系の2つの分野を融合させた新たな分野の研究と教育を特色とする。このように,理工系の学問を共通基盤として,従来の生命科学の分野から脱却した新たな学術分野を創成し,実用に耐えうる高い目標設定の中で,時代の要請に応えられる理工系人材の育成を目標としている。電気・情報生命工学科は,“情報”,“エネルギー”,“ナノエレクトロニクス”などだけでなく“生命”もその教育・研究の柱に据えて有機的に結び付け教育・研究を遂行する。生命と既存学問領域の関係で,現在最も一般的に行われているアプローチは化学の視点から,あるいは物理の視点からのそれであろうが,本学科は“情報”,“エネルギー”,“ナノエレクトロニクス”と“生命”という視点から教育・研究を明示的に行う学科の先駆けとなっている。1. 人材の養成に関する目的 その他の教育研究上の目的2. 先進理工学部の方針 (ポリシー)3. 先進理工学部の 特徴Ⅰ 先進理工学部 についてⅡ 学修案内Ⅲ その他案内目次に戻る4. 先進理工学部の 沿革と概要
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