46て,その安全性・信頼性・公平性に関する諸問題について学際的な視点から研究する。特に,社会システムにおいて,適切に権限を分散させ,セキュリティとプライバシと公平性を担保するため,暗号技術を活用し,データ変換アルゴリズム,データ検証アルゴリズムなど組み合わせて構成する情報伝達プロトコルを研究する。離散数学を用いた具体的な数式の構成や,計算量理論を用いた評価なども行う。3.高度計算機構部門 計算機の役割は,人間の知的能力を増幅することにある。これまで計算機は,主に定型作業を高速実行することによって人間を助けてきたが,社会において生成され流通する情報が急増するにつれ,計算機自体にもより高度で知的な作業を行わせ,人間の負担を軽減する必要性が増大してきている。高度計算機構分野では,コンピュータの機能をこのような観点から抜本的に高度化する方法を,さまざまな角度から探究し,将来の情報処理環境のあり方を模索,呈示することを目標としている。具体的には,以下のような内容の研究指導を行う。 (1)知識情報処理 高度で複雑な計算を要する分野の「難しい」ソフトウェアのためのプログラミングパラダイムを探求している。特に,並行性や非決定性をもつソフトウェア,アルゴリズム未確立領域のソフトウェア,物理系とのインタラクションをもつサイバーフィジカルシステムのためのソフトウェアなどの研究を,新たな基礎理論(計算原理)とプログラミング言語の開拓という根幹レベルから推進し,実際にシステムを構築している。このようなフロンティア分野では,人工知能技術とソフトウェア技術との融合が焦点となる。さらに計算やプログラムの正しさを厳密に保証するための技術の開拓も積極的に行っている。 (2)計算機言語論 計算機(プログラミング)言語とは,コンピュータで実行される計算の振舞・アルゴリズムを正式に記述するための言語である。計算機言語論は計算機科学において最も歴史ある確立された分野の一つであり,また,近年も活発に研究が行われている。特に次のようなテーマを研究する:1)プログラミング言語および言語機能の設計と実装,2)関数型・論理型プログラミング等プログラミング方法論,3)型システム・プログラム検証・プログラム合成などプログラムの理解・解析・生成に関する技術,4)プログラム意味論・型理論など基礎理論,5)情報セキュリティなど他分野への応用。 (3)データ科学に基づく機械学習技術としての人工知能 コンピュータにより人の知的能力を増幅するには,人が生み出すデータの特質を計算可能な形式でふまえる必要がある。統計科学を方法論として,複雑系としての人のデータに通底する性質を探求し,計算モデルとして記述する。その記述を基盤とし,人になじむ形式でコンピュータの計算機構を高度化し,深層学習を含めた機械学習技術を,人工知能として発展させることを目指す。4.ソフトウェア部門 現在の情報化社会にあって,コンピュータを制御するためのソフトウェアに対するニーズが巨大化し,その生産が追い付かない状態が久しく続いている。本部門の目的は,高信頼性かつ高性能のソフトウェアを社会の要望に応じて生産する理論的および実戦的方法を研究かつ教育することである。 具体的には,以下のような内容の研究指導を行う。 (1)プログラム設計論 計算機科学の中で理論的にもっとも美しくかつ現実的にもっとも有用な成果を達成してきた分野である。コンピュータが人間生活の隅々にまで浸透した現代社会において,コンピュータの制御に必要不可欠なプログラムはますます重要性を増している。逐次型,並列型,決定性,および確率的なアルゴリズムに基づいたプログラムについて,実際的立場に立った設計論と解析論の研究と教育を行う。1. 履修方法・修了 要件・学位2. 学位論文7. 先取り履修8. 後取り履修3. コア科目 推奨科目9. 実体情報学 コース10. 数物系科学 コース要項11. PEP卓越大学院 プログラム12. 技術経営リーダー 専修コース6.その他の科目5.共通科目4. 専攻別案内数学応数表現工学機械・航空電子物理情報・通信材料科学13. 教職免許Ⅰ 基幹理工学研究科 についてⅡ 学修案内Ⅲ その他案内14. 成績の表示15. 不正行為・非違行為に 対する懲戒処分目次に戻る
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